倉庫の建物や設備には耐用年数があり、耐用年数に応じて減価償却を行っていく必要があります。
耐用年数や減価償却を知らずに利用していると、思わぬ事故やトラブルの基になったり、税務面で損をする場合があります。
倉庫の耐用年数は?建物の種類や構造・用途を解説
【木造倉庫】税務における耐用年数・減価償却と寿命
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耐用年数とは
耐用年数は、固定資産の使用可能期間を示しています。
耐用年数には以下の種類があります。
その①・・・法的耐用年数
その②・・・経済的耐用年数
その③・・・物理的耐用年数
法的耐用年数
法定耐用年数は、一般的に用いられる耐用年数の算出方法です。
法定耐用年数は、国が資産ごとに定めた耐用年数です。
建物の構造による法的耐用年数の違いは以下の通りです。
木造・・・22年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下)・・・19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以上4mm以下)・・・27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm以上)・・・34年
鉄筋コンクリート(RC)造・・・47年
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造・・・47年
上記のように、建物構造によって、法的耐用年数は異なります。
倉庫の場合は、建物だけでなく、設備の耐用年数も確認しておく必要があります。(後述しています)
この法定耐用年数は、企業が固定資産の耐用年数を意図的に低く見積もり税逃れを防ぐために設けられています。
経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、固定資産の使用による収支と支出を予測したときに、採算に合うか合わないかで耐用年数を決めるという考え方です。
補修・修繕費が改築費用を上回る場合も一つの目安になります。
不動産勘定では、この経済的耐用年数を用いて固定資産価値を評価しています。
一般的に法定耐用年数よりも年数が長いことが多いです。
物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、建物の躯体・構成材などが物理的もしくは化学的要因で劣化したことにより、限界性能を下回ると判断された耐用年数です。
一般的に経済的耐用年数よりも年数が長いことが多いです。
倉庫の耐用年数の確認方法
上記の情報を元にして、法的耐用年数・経済的耐用年数・物理的耐用年数ごとに倉庫の耐用年数を確認する方法を説明します。
法的耐用年数の確認方法
建物の構造による法的耐用年数の違いは以下の通りです。
木造・・・22年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下)・・・19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3mm以上4mm以下)・・・27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm以上)・・・34年
鉄筋コンクリート(RC)造・・・47年
鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造・・・47年
また倉庫設備の法的耐用年数も把握しておく必要があります。
【設備関係】倉庫設備で法的耐用年数に気をつけたいもの *一部抜粋
その①・・・倉庫業用設備・・・12年
その②・・・電気設備(照明設備を含む)*蓄電池電源設備・・・6年
その③・・・給排水・衛生設備、ガス設備・・・15年
詳細は 国税庁 – 耐用年数表 をご確認ください。
経済的耐用年数の確認方法
倉庫の経済的耐用年数を確認したい場合、資産の経済的価値を鑑定できる企業に依頼するのが一般的です。
まずは専門家が建物診断調査(インスペクション)を行い、倉庫の物理的・機能的要因による現状の劣化状況や、必要とされる修繕・更新費用を明らかにします。その報告書と倉庫の近隣地域のこれからの動向を鑑みて、経済的な観点から倉庫が稼働すべき残りの期間が算出されます。
物理的耐用年数の確認方法
倉庫の物理的的耐用年数を確認したい場合、経済的耐用年数と同様に一級建築士や技術士などの専門家による建物診断調査(インスペクション)を行うのが一般的です。
まずは現地調査により築年数に対する劣化・メンテナンス・修繕工事の状況確認が必要です。現地調査で確認された状況を分析して、物理的耐用年数が算出されます。
大まかな減価償却期間を確認する方法
倉庫の建物や倉庫設備などの固定資産は、法的耐用年数の間に徐々に価値を消費していき、法的耐用年数が過ぎると建物の価値は0になると考えます。
これを「減価償却(げんかしょうきゃく)」といいます。
また、倉庫の建物や倉庫設備などの固定資産は、購入時に一括で経理計上するのではなく、「減価償却費」として経理計上する必要があります。
計算の手順は以下の通りです。
仮に1,000万円の「冷蔵倉庫」を平成30年4月1日に購入したと仮定すると
冷蔵倉庫・・・耐用年数31年
償却率・・・・0.033
1,000万×0.033=33万
つまり1,000万円の冷蔵倉庫の場合、固定資産税は毎年の減価償却費は33万となります。
この減価償却の考え方は、毎年の赤字・黒字のバランスを取るために国により定められた方法です。
まとめ
耐用年数は、固定資産の使用可能期間を示しており、考え方によって法的耐用年数、経済的耐用年数、物理的耐用年数と3種類の算定方法があります。
固定資産の評価や税金の計算などは、法的耐用年数を基に価値を減価償却していくという考え方で算定されます。
法的耐用年数と、経済的耐用年数は異なる場合が多いですが、「まだ経済的耐用年数に達していないから、メンテナンスしなくても大丈夫だ。」と判断するのではなく、定期的にメンテナンスや設備点検を行っておくことが事故防止や、安全対策に繋がります。
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