建物を建てたら「不動産登記」をする必要がありますが、登記できない建物も中には存在します。
本記事では、登記できる建物と、登記できない建物の違いを解説していきます。
登記すべき「建物」の定義は
建物として登記が必要になる条件は大きく3つあり、「外気分断性」「定着性」「用途性」を備えている場合、建物として登記する必要が出てきます。
以下は不動産登記規則第111条の引用です。
『建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。』
出典:不動産登記規則
詳しくは下記記事にて解説しています。
簡単に言うと、土地に固着し、屋根壁(天井高1.5m以上)があり、使い道を持ったある程度強い建物は登記義務があります。
また車庫などは3方向にしか壁がなくても建物として登記することができます。
また、例外として、外気分断例がなくても3方向に壁がある場合、納屋等は登記しなければなりません。
ロフトなどは1.5m以上の天井高がある場合は登記ができて、ロフトを階数にカウントし、さらに建物全体の階数も増えることになります。
未登記部分がある場合、相続登記の後でトラブルになることがあります。
相続や売却などを検討している場合は、後々のトラブルを防ぐために以下を確認しておきましょう。
・固定資産税評価証明や名寄帳を確認し、未登記建物がないか登記建物と照合する。
・上記を確認した上で、現地に増築がないか、未登記付属建物がないか等を確認する。
【登記は必要?】登記できる倉庫と登記できない倉庫の違いとは?
不動産登記上の「建物」の認定基準が4つあって、それが登記できる倉庫の基準と同じになります。
なお、登記できない倉庫はその逆になります。
1つ目の条件は「その取引性があること」
建造物自体が「不動産」として取引される価値があるか否かについても重要であるとの考えもあります。
これは不動産登記制度そのものが、一般社会で経済効果の高い不動産の取引を安全かつスムーズに図るための制度であることに着目しているものです。
2つ目の条件は「土地への定着性があること」
それは建造物が永続的に、その土地にとどまって使える状態のことを指します。
つまり一定期間で取り壊してしまうものや簡単に移せるもの、単に地上に置かれているだけのものはこれに当てはまりません。
3つ目の条件は「その用途性•人貨滞留性があること」
それは屋根や周壁等により区画された建造物の内部空間において、一定の用に供することができる生活空間(人や貨物の滞留ができる場所)が作られている状態のことです。
つまりその建造物がその利用方法に沿った”つくり”となっているのかが決め手となります。
現実に「居宅」や「店舗」、「車庫」などの不動産登記上の『建物種類』はあるのですが、それぞれの利用要件が満たされているかどうかが重要な点となります。
4つ目は「外気との分断性があること」
それはもちろん空気そのものを完全遮断するという意味ではなく、屋根や周壁などによって風雨をシャットアウトする性能を持っている状態のことです。
さらにこの4つの要件だけではなく「建物とは、屋根及び周壁またはこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途と同じ状態にあるもの。」と、不動産登記事務取扱手続準則に定められていることも知っておきましょう。
まとめ
登記すべき「建物」は
・土地に定着していて簡単に移動できない建物
・屋根か周壁などの外気を分断するものがある建物
です。
また、不動産登記上の「建物」の認定基準は
「取引性があること」
「土地への定着性があること」
「用途性•人貨滞留性があること」
「外気との分断性があること」
の4つです。
登記できる建物と登記できない建物の違いの判断し辛い場合は、仲介業者や不動産屋、倉庫のメーカーに確認するようにしましょう。