倉庫、工場を運営していく中で害虫、害獣被害に悩まされることがあります。
その中でも鼠害(そがい)、いわゆるネズミ被害に悩まされているという業者さんが多くおられます。
本記事では、
- ネズミ被害とは具体的にどのようなものなのか、その影響
- 倉庫・工場のネズミ被害を防ぐためにすべき2つの対策
- ネズミの退治・駆除の方法
を解説していきます。
ネズミ被害に悩まれている方の一助になれば幸いです。
目次
主なネズミ被害とその影響
ネズミ被害には大きく、「健康被害」「経済的被害」の2つが挙げられます。
ネズミは倉庫や、工場の建物内に侵入すると、
- 建物、設備、保管物をかじる
- フンをし、建物内を汚す
- 断熱材など建材を巣に利用する
などを行います。
建物、設備をかじったり、建材内で巣を作ることにより、
建物の資産価値が下がり、「経済的被害」が生じます。
配管や、配線がかじられ、ガス漏れや漏電による火災、停電に至る事例もあります。
建物、設備の損害の他にも、保管物やお客さまの荷物をかじられるなどの経済的被害を被る可能性もあります。
また、ネズミの体にはダニ、病原菌、ウイルスがたくさん着いており、人も病気に感染する可能性があるという「健康的被害」も生じます。
さらに糞尿が放置、蓄積されることにより、より病原菌、ウイルスが拡散しやすい環境が生じます。
その他にも、ネズミが侵入し、住み着くことで、ネズミを捕食するヘビやイタチ等の捕食動物の侵入することがあります。
ネズミが侵入し住み着くことで、ネズミ以外の害獣の侵入の原因になり、経済的、健康的被害が更に拡大してしまう可能性があるのです。
倉庫・工場のネズミ被害を防ぐためにすべき2つの対策
ネズミ被害を防ぐためには、何をすればよいのでしょうか。
倉庫・工場のネズミ被害を防ぐためにすべき対策は、おおきく2つあります。
エサになるものを置かない|倉庫・工場のネズミ被害を防ぐためにすべき対策 その①
1つ目は「エサになるものを置かない」ということです。
工場倉庫の中でネズミが入ってくる大きな理由は、
その環境に大好物のエサがあるからです。
食品を扱う場合は、必ず容器などに入れ、保管するようにしましょう。
ときに食品加工の工場などでは、食料関係の扱いはもちろん、ゴミも蓋付きのゴミ箱を用意するなど、ネズミにエサを与えないようにしましょう。
また、一般的な食品だけでなく、ペットフードや、生け花などもネズミのエサとなります。
「食品を扱っていないからネズミの被害は大丈夫だ」
と油断せず、管理は徹底しましょう。
万が一、すでにネズミに食べられている痕跡がある場合は、ネズミが「食料がある」と認識しているので、周囲に粘着シート、忌避剤等を仕掛けておきましょう。
ネズミの住処を与えない|倉庫・工場のネズミ被害を防ぐためにすべき対策 その②
2つ目は「ネズミの住処を与えない」ということです。
段ボールや雑巾、衣類、ティッシュペーパーなどは、ネズミの住処になりやすい存在です。
長時間、段ボールや雑巾、衣類、ティッシュペーパーなどを放置していると、ネズミが運び、巣の材料として使われます。
あまり使わない資材や、使用済みのダンボールなどは、放置せずなるべく早めに廃棄するようにしましょう。
また、ネズミが生息する工場内には、壁や通気口といったネズミが移動しやすい通路があります。
窓などを開けっ放しにしておくとその窓からネズミが侵入することもあります。
壁に隙間や穴がある場合は防鼠パテ等で塞ぐとよいでしょう。
ただ、屋内にネズミがいる状況で出入り口を塞ぐと他の部屋や、いままでネズミが発生していなかった箇所に現れる場合があるので注意が必要です。
窓や壁の付近にラットサイン(ネズミが通った跡)を見つけた場合は施設内の細かな部分についても再確認をした方が良いでしょう。
ネズミの退治・駆除の方法
ネズミの退治・駆除の方法は「捕獲して駆除、薬を用いて駆除、ネズミを追い払う」の3つです。
捕獲してネズミ駆除する | ネズミの退治・駆除の方法 その①
まずは1つ目の捕獲してネズミ駆除をする時、粘着式ネズミ捕りや(とりもちが付いたネズミ捕り)や、ネズミ捕り用のカゴ、圧殺式捕鼠器などが用いられます。
中でも、粘着シートのネズミ捕りは作業が簡単で、捕獲したネズミも衛生的に回収・処理することが可能です。
ネズミ捕りの使用ポイントは、ネズミがいつも出没する場所・通過する場所は比較的警戒しないため、そのような場所を狙って設置してください。
また、多数枚設置した方が捕獲されやすいため、なるべく数多くネズミ捕り(粘着シート)を設置してください。周りにエサが少ないと捕獲率が上がりますので、設置する前にエサとなるような物はできるだけ片づけましょう。
粘着シートを設置した後、ネズミ用燻煙剤を焚いてネズミを慌てさせ、捕獲率をアップさせる方法もあります。
薬を用いてネズミ駆除する | ネズミの退治・駆除の方法 その②
次に毒エサや殺鼠剤などの薬を用いて、ネズミを駆除する方法があります。
毒エサの使い方のポイントは、最初から毒エサを設置するのではなく、まず無毒のエサ(食品)のみを設置し与えて与えて、ネズミに餌場として認識させてから毒エサに変えるとより効果的です。
はじめに、ネズミ用の毒餌皿(容器)に無毒エサを入れ、ネズミが食べ慣れてきたら(餌を食べている痕跡が見られてきたら)、そこへ殺鼠剤を混ぜます。
(この時、食品や生ごみが放置されているなど周囲にエサがあると、毒餌(殺鼠財)を食べる可能性が低くなるため、掃除や整理整頓を行いましょう。)
殺鼠剤の作用機構として、1回もしくは数回の摂食で効果を示す「急性毒剤」と、数日間の連続摂取によって効果を示す「累積毒剤(クマリン系)」があります。
忌避剤でネズミを追い払う | ネズミの退治・駆除の方法 その③
最後に忌避剤などを用い、ネズミを追い払う方法があります。
この場合、ネズミが生息しにくい環境にして追い払う必要があります。
ネズミが嫌がる香料を配合した忌避スプレーや忌避剤の処理、ネズミの通り道にトゲや針金の付いた忌避具の設置する、ネズミが嫌がる超音波。電磁波を生じさせるなど様々な方法があります。
これらは、ネズミが不快に感じる環境を作ります。
すぐにネズミがいなくなるという即効性はなく、長期的な対策になります。
逃げ場がなかったり、エサが豊富にあったり、外部環境より豊かだとネズミに判断されるとそのままネズミが居続ける場合もあります。
エサになりうるものや巣を見つけた場合は取り除き、清掃を行い、薬を用いながら忌避剤などで追い払うなど、効果が現れるまで別の駆除方法と合わせて行うのがよいでしょう。
まとめ
本記事では、ネズミ被害と、被害を防ぐための方法、ネズミが侵入してしまっている場合にどのような駆除をすればいいのかを解説しました。
たかが、ネズミと侮っていると、大きな火事や漏電の原因になったり、保管物の損傷だけでなく、従業員の健康被害などにもつながる場合があります。
ラットサイン(ネズミが通った跡)を確認した場合は早急に対応するのが良いでしょう。
また、ネズミの侵入が確認できなくても、事前にネズミ対策を把握して、対策を実施しておくことにより被害を未然に防ぐことが出来ます。
大切な建物、資材、従業員のためにも最善の対策を講じるようにしましょう。