危険物を収納する、危険物倉庫には、「保有空地」と呼ばれる、火災時などに周囲の建物に影響を与えない為の何もない空間を設けることが定められています。
今回は危険物倉庫の保有空地と、製造所等ごとの保安距離についてカンタンに解説します。
危険物倉庫に関する記事は下記にまとめていますので、あわせてご確認ください。
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危険物倉庫の保有空地とは
そもそも危険物は、火災を発生させやすいものをまとめて言うもので消防法に定められています。
灯油やガソリンなどが該当しますが、このような物質は火に触れると大きな火災を起こしてしまう可能性があります。
火災が発生しても、周辺の建物や木々などに燃え移らないようにするために確保しておかなければならない空き地のことを、危険物倉庫の保有空地と言うのです。
また、燃え移らないようにするためだけでなく、消防隊がスムーズに消火活動を行うための空地も保有空地と呼んでいます。
すなわち、危険物を安全に取り扱うだけでなく、仮に危険が起きた場合の後のことも考慮してこのような空間を確保しておかなければならないのです。
危険物倉庫の保有空地とは・・・
火災が発生した際、周辺の建物や木々などに燃え移らないようにするために確保しておかなければならない空き地のこと
火災発生時に、消防隊がスムーズに消火活動を行うための空地
保有空地が必要な建物・施設
上述のような保有空地を確保しなければならない施設はいくつかあります。
製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、移送取扱所、一般取扱所などが挙げられます。
製造所や貯蔵所というのは、危険物そのものを製造したり貯蔵しておくための施設のことです。
そのため、最も火災が発生しやすい場所と言っても過言ではありません。
このような施設や建物で仮に事故が起き火災を生じてしまった場合でも、被害を最小限に抑えるために保有空地を確保しなければならないのです。
一般取扱所とはいわゆるガソリンスタンドのことで、街中に見られるガソリンスタンドに行くと保有空地が確保してあるのを見ることができます。
対象物と保安距離
保有空地を確保するのは当然として、保安距離も合わせて確保しなくてはならないと消防法には定められています。
保安距離とは、ガソリンや灯油などの危険物を製造する場所から対象となる施設まで離れなければならない距離、いわゆる離隔距離のことです。
学校や病院、公会堂などは製造施設から30メートル以上離れなくてはならず、最も遠いものでは重要文化財が50メートル以上の距離を保つこととされています。
これを守らなければ、そもそも製造施設の建設は認められませんし、建設後に保安距離を保てていないと判断された場合には法律違反で処罰される可能性もあります。
保有空地では場所が空いているからといって、その場所を活用できません。
例えば、駐車場や駐輪所といった形での土地活用も禁止されています。
まとめ
危険物倉庫の保有空地の活用に関して解説していきました。
保有空地は、火災が発生した際、周辺の建物や木々などに燃え移らないようにするために確保しておかなければならない空き地のことあり、火災発生時に、消防隊がスムーズに消火活動を行うために確保しなくてはいけない空地です。
ゆえに保有空地は完全に空地である必要があり、駐車場や、駐輪場での利用も禁止されています。
ガソリンや灯油は人間が生きていくうえでもはや欠かせない物質となっています。
これらがないと車も走れませんし、寒い冬を越すこともできません。
製造や管理過程で事故が起こる危険性は十分にあります。
しかし、危険物を製造する場所からはある程度の距離が保たれているのは事実ですし、万が一火災が発生したとしても延焼の防止やスムーズな消火活動を可能とするための保有空地を確保することと法律で定められています。
空地のままだともったいないと思いがちですが、安全に変えられるものはありません。
しっかりとルールを守り、安全に施設を運用するようにしましょう。
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