地震大国、日本。
日本中、どの地域でも大きな地震が起こるリスクがあります。
建物には地震に被災しても、倒壊しないように「耐震基準」というものが設けられています。
本記事では、この「耐震基準」がどのようなものなのかを解説してきます。
新耐震基準とは?
耐震基準をご存知でしょうか?
耐震基準は以下のように定義されています。
耐震基準とは・・・
耐震基準とは、建築物や土木構造物を設計する際に、それらの構造物が最低限度の耐震能力を持っていることを保証し、建築を許可する基準である。
(出典 耐震基準 – Wikipedia)
上記の通り、耐震基準は、地震が起きた際に建築物(建物)が最低限の耐震能力を持っていることを保証する基準です。
この耐震基準をクリアしないと、建築許可はおりず、建築物は建てられないようになっています。
建物は、倒壊しないように設計することが求められますが、耐震基準を超える大きな地震が発生した場、耐震基準をクリアしていてもまれに倒壊してしまう場合があります。
そのように、耐震基準に達していた建物が倒壊してしまった場合、建物の耐震基準は変わっていきます。
2020年12月現在の耐震基準は「新耐震基準」という耐震基準が採用されています。
この新耐震基準では、以下のような耐震基準が設定されています。
・震度5程度の地震の被災を受けても、ほとんど損壊しないこと
・震度6強から7程度の地震によう被災を受けた際も、建物が倒壊や崩壊をしないこと
このため、現在新しく建てられている全ての建物ではは震度5強程度では倒壊をする心配がないこと、また震度7程度の建物でも倒壊や崩壊をしないように設計されています。
この新耐震基準は、1978年の宮城県沖地震により「旧耐震基準」を満たしていた建物にも大きな被害がでたことを受け、1981年の改正で旧耐震基準が変更され、現在の「新耐震基準」になりました。
このように、災害などの発生によって従来の耐震基準の見直し、改正されたときに設定される新しい耐震基準が「新耐震基準」となります。
また、新耐震基準の建物であることは住宅ローン減税の適用を受けるときにも大事なので覚えておきましょう。
新耐震基準と旧耐震基準の違いは?
2020年12月現在、「新耐震基準」が適用されています。
この「新耐震基準」と「旧耐震基準」は主に下記2点に違いがあります。
・想定する地震の大きさ
・想定する地震による被害の程度
「旧耐震基準」は、1950年に制定されました。
その当時の耐震基準は、
・震度5強程度の地震で倒壊や崩壊しないこと
という基準のみになっています。
「旧耐震基準」の場合は、震度5強程度で建物のヒビや傾きは問題なく、崩壊しなければ大丈夫という定義でした。そのため、震度6以上の地震が生じることは想定されていなかったので、震度6強以上に地震が起きたときは倒壊する可能性があることを示唆しています。
実際に震度7を記録した阪神・淡路大震災では、倒壊や半壊などの被災した木造住宅の98%が「旧耐震基準」で設計された建物でした。
一方、新耐震基準は上記でも紹介したように、震度7程度の地震では倒壊しないように建物を設計することが求められています。この基準を満たした建物は阪神・淡路大震災また熊本地震の際にも大きな被害を被ることはなく、比較的被災した物件であってもヒビ割れ程度で済んでいたことが報告されています。
そのため、「旧耐震基準」と「新耐震基準」を比較し、どちらが好ましいかといえば、間違いなく、「新耐震基準」に則って建築されている建物の方が良いと言えます。
ただ、今でも「旧耐震基準」で建設されている建物も多く現存しており、まだまだ現役で問題なく使えているだけでなく、比較的賃料や、売買価格が安く取引されている場合があります。
新耐震基準と旧耐震基準の確認の仕方
建物が「新耐震基準」なのか、「旧耐震基準」どちらの耐震基準で建てられたのかを確認方法として、建物の建築確認許可を得た日付を調べるという方法があります。
耐震基準は、建築確認許可を得た日付で決まります。
耐震基準は、建物の完成した日付で決まるのではなく、
建物の建築確認許可がおりた日付で決まります。
つまり、「新耐震基準」が制定された、1981年の前後に建築した建物の場合は、新耐震基準が適用されずに、「旧耐震基準」で建築されている可能性があります。
目安として、1984年以降に建築許可がおりている建物の場合は、新耐震基準が制定されて、3年経っているので新耐震基準が制定された後に建設されている可能性が高く安心できます。
「新耐震基準に適応している建物が良い」場合は、1984年以降に建築された建物を選ぶようにしましょう。
まとめ
新耐震基準の意味と旧耐震基準の違いについて紹介してきました。
新耐震基準では、震度5位上の地震ではほとんど損壊しないようにする、また震度6強から7程度の地震では建物が倒壊や崩壊をしないようにすることが内容に記載されています。
一方旧耐震基準は、震度5強程度の地震では倒壊させないようにという内容なので、震度の高さに違いがあります。また、1981年に新耐震基準は改定されているので、これ以前の建物は旧耐震基準を基に設計されているので、震度6や7の場合は建物が倒壊する可能性もあります。
耐震基準は建物にとって大事なので覚えておくようにしましょう。