全国的に、緊急事態宣言が解除され、止まっていた経済が再開しようといています。しかしながら新型コロナウイルス感染症はまだ終息しておらず、まだまだ長期的な対策をしなければいけません。
この長期化する「withコロナ」の状況下で、倉庫業者はどのような対策をすべきなのでしょうか。
本記事では倉庫業者の方向けにどのようなコロナ対策を講じればよいかを解説していきます。
目次
コロナ対策の基本的な考えと具体的な8つの施策
2020年5月14日に、日本倉庫業界から「倉庫業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」が策定され、公表されました。
このガイドラインは、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」などの政府の諸決定を踏まえて、日本倉庫協会が策定したものです。
基本的な考えとして、事業所や作業空間だけでなく、通勤経路を含む周辺地域においても、従業員などへの感染拡大を防止するように努めることと、「三つの蜜」を避け、クラスター感染発生リスクが高い状況を作らないように最大限の対策を応じること、と記されています。
講じるべき具体的な対策としては、以下の8項目が挙げられています。
【倉庫業者が講ずべき8つのコロナ対策項目】
その①・・・ 健康管理
その②・・・ 通勤
その③・・・ 勤務
その④・・・ 休憩・休息
その⑤・・・ 設備・器具
その⑥・・・ 部外者の立ち入り
その⑦・・・ 従業員の意識向上
その⑧・・・ その他
順に解説しています。
健康管理|倉庫業者のコロナ対策【その①】
従業員の体調管理については以下のように定められています。
✔ 出勤前に、体温検査を実施
✔ 体調の悪い者は自宅待機
✔ 勤務中に体調が悪くなった従業員も、直ちに帰宅させ、自宅待機とする。
✔ 体調不良で自宅待機となった従業員には、毎日、健康状態を確認
✔ 症状に改善が見られない場合は、医師への相談を指示する。
✔ 症状が改善した場合であっても、出社判断を行う際には、学会の指針などを参考にする。
✔ 政府から入国制限、または入国後の観察期間を必要とされている国・地域などへ14 日以内に渡航した者に対し自宅待機を指示する。
✔ また、当該地域に在住する者との濃厚接触がある場合も同様に扱う。
と定められています。
倉庫内や現場は密閉、密集していることも多く、知らず知らずの間に感染源になってしまい、クラスターの原因になってしまう場合があります。
少しでも体調に違和感を感じた場合は、管理者に連絡をし、帰宅、自宅待機、療養に努めましょう。
通勤|倉庫業者のコロナ対策【その②】
通勤に関しては、以下のように定められています。
✔ 在宅勤務(テレワーク)が可能な従業員は、在宅勤務化をする(管理部門などを中心)
✔ 出勤する際は、なるべく自家用車、自転車、徒歩通勤
✔ 公共交通機関を使わないと出勤出来ない従業員は、「時差出勤の励行」「従業員用の通勤バスの運行」などを行う。また公共交通機関で移動の際には「マスクの着用」や「私語をしない」などを徹底する。
公共交通機関での移動中に私語をしないように徹底する、とガイドラインに定められていました。少し厳しすぎるような気もしますが、万が一を考えるならば、不特定多数の人が集まる場では、あまり喋らない方が良いのかもしれませんね。
勤務|倉庫業者のコロナ対策【その③】
勤務に関しては、以下のように定められています。
✔ 定期的な手洗いの実施(始業時、休憩後など)
✔ 従業員同士の距離を一定距離(2mを目安)保てるように作業空間と人員配置の見直し
✔ 勤務中のマスク着用、手袋の装着の実施(特に複数名による共同作業をしなくていけない場合)
*作業量の多い、長時間の作業などを行う際はマスクによる呼吸困難に注意する
✔ 勤務交代の交代時間を長く設定したり、ロッカーをなるべくわけ、混雑や接触をなるべく避ける。
✔ 朝礼や点呼は小グループにわけ、なるべく大人数で集まらないようにする。
✔ 作業エリア毎に区画を整理し、他の区域と不必要に往来しないようにする。
勤務中の取り組みでは、定期的な手洗いの実施など、すぐに実施できそうな施策が多いように感じます。
勤務中の取り組みを徹底することにより、従業員の意識改革にも繋がります。また、勤務週間を見直す中で、業務効率の改善にもつながる可能性もあります。
休憩・休息|倉庫業者のコロナ対策【その④】
休憩・休息に関しては、以下のように定められています。
✔ 屋外であっても2メートル以上の距離を確保すること
✔ 休憩スペースは3つの密を防ぐことを徹底(人数制限を定める、屋内休憩スペースの換気を行うなど)
✔ 喫煙者には禁煙を推奨する(喫煙者が感染した場合は重症化リスクが高い傾向があるため)
✔ 食堂等での飲食する際も2メートル以上の距離を確保するよう努める。
*2メートル以上の距離が取りづらい場合は、「対面で座らない」「アクリル板などで遮蔽」などを実施
休憩中はどうしても気が緩んでしまいます。油断してしまうタイミングではありますが、「対面で座らない」などすぐできることから実行していきましょう。
設備・器具|倉庫業者のコロナ対策【その⑤】
設備・器具に関しては、以下のように定められています。
✔ タッチパネル、レバーなどは定期的に消毒する
✔ 個々の従業員で専有可能なものは、共有を避ける
✔ 作業服などの衣類はこまめに洗濯する
✔ テーブル、ドアノブ、電話などの共有設備も頻繁に洗浄、消毒する
✔ ゴミはこまめに回収して密閉、ゴミ収集作業後には手洗いを徹底する
✔ 建物全体や作業スペースの換気を努める。
タブレットを経由した集団感染の事例も確認されています。
【参照記事】手すり・ドアノブ消毒は徹底したのに…大分の院内感染、盲点になった感染経路 – 読売新聞
「これぐらい大丈夫だ」という気の緩みから、集団感染が発生する場合もあります。
設備、器具は可能な限り専有にする、使用前後には、こまめに洗浄、消毒をするようにこころがけましょう。
部外者の立ち入り|倉庫業者のコロナ対策【その⑥】
部外者の立ち入り関して、以下のように定められています。
✔ 不要不急な部外者の立ち入りは行わない
*例:一般向けの施設見学など
✔ 部外者の不可欠な立ち入りについては、従業員に準じた感染防止対策を求める。
*事前に対外企業に感染防止対策を説明しておくと良い
避けられる立ち入りならば減らしましょう。
業務遂行上不可欠な場合は、授業員同様に感染防止対策を徹底して行っていただくようにしましょう。
また、訪問後にトラブルにならないように、関係者や取引先には事前通達しておくと良いでしょう。
従業員の意識の向上|倉庫業者のコロナ対策【その⑦】
従業員の意識の向上に関しては、以下のように定められています。
✔ 感染防止対策の重要性を理解させ、日常生活を含む行動変容を促す。
*例:「人との接触を8割減らす10のポイン ト」や「『新しい生活様式』を周知する など
✔ 新型コロナウイルス感染症から回復した者やその関係者が、会社内で差別されるなどの人権侵害を受けることのないよう、従業員を指導し、円滑な社会復帰のための十分な配慮を行う。
万が一、従業員が感染が発覚した場合、感染の拡大防止だけでなく、感染した従業員への心的なケア、他従業員が当該従業員を差別しないようにケア、配慮する必要があります。
その他|倉庫業者のコロナ対策【その⑧】
その他にも
✔ 衛生管理責任者と保健所との連絡体制を確立すること
✔ 保健所の聞き取り等には必ず協力する
✔ 労働衛生管理等の関連法令上の義務を遵守する
などの対策が求められています。
まとめ
本記事では、「倉庫業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン 」を参照し、倉庫業者がすべき具体的な新型コロナ感染症対策を解説していきました。
全国的に緊急事態は解除されましたが、未だクラスターが確認されるなど、終息はしておらず、しばらくは“withコロナ”として、このような状況が続くと考えられます。
今後は、経済を止めるのではなく、感染症の予防対策を行いながら、経済活動を進めていくことが求められます。
本記事や「倉庫業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン 」「厚生労働省の最新情報」などを確認しつつ、経済活動を行っていきましょう。
*本記事は2020/05/30現在の情報を基に執筆しております。
感染の拡大状況等により、推奨される対策、行動が異なっている場合がございます。
最新情報は「厚生労働省-新型コロナウイルス感染症について」等の情報を参照することを推奨致します。